以下の翻刻・訓読・現代語訳・コメントは村井道明氏のご教示による

不容敵艦海瀕屯 天険千秋護北門
世上那知攻守勢 呶々利害属空言
北見国所見 韋庵
訓読
敵艦の海瀕に屯するを容(い)れず。
天険千秋 北門を護る。
世上なんぞ攻守の勢(いき)を知らんや。
呶々(どど)たる利害 空言に属す。
現代語訳
敵艦を海岸近くに好き勝手に集結させるようなことがあってはならない。
この北の海は、自然の地形そのものが要害であり、永く国を守る「北の門」となってくれる。
しかし世間の人々は、攻める側と守る側の情勢や力関係を本当のところは理解していない。
利害を言い立てて議論に明け暮れても、多くは中身のない口先だけの議論で終わるのだ。
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『韋庵詩鈔』所収。「北見国所見」は、北の海を望むこの地を見ての所見である。
語注・気付き
*岡本韋庵 探検家・教育者。徳島の小農に生まれる。名は監輔。嘉永元年(1848)、東畡に入門。前半生は樺太探検と北海道開拓にとりくみ、後半生は儒学教育に情熱を注いで台湾総督府国語学校教授、私立神田中学校校長となる。また漢学復興につとめ、明治14年結成の斯文会初代書記となった。著書に『北蝦夷新誌』、『窮北日記』、『烟台日記』、『万国史記』など多数。(林啓介『樺太・千島に夢をかける:岡本韋庵の生涯』新人物往来社,2001年)(泊園書院HPから)


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