書き物

中島棕隠「瓶楳」七言絶句

紙本縦一〇六×横三〇㎝
以下の翻刻・訓読・現代語訳・語注は村井道明氏のご教示による。

撮影:四国大学 / 分類:20230909-J64

一瓶春水是新知 清友開顔邂逅時
吾在下風叨作主 媿撩芳座措蕉辭
瓶楳 棕軒

訓読

一瓶の春水は新知にして、
清友 顔を開くは邂逅(かいこう)の時。
吾は下風に在りて叨(みだり)に主と作(な)り、
芳座を撩(みだ)すを媿(は)じて、蕉辞(しょうじ)を措(お)く。

現代語訳

一瓶の春の水に挿した梅は、新しく知り合ったあなたそのもののようだ。
清らかな友と、にこやかに顔を合わせたこのひととき。
身分も下のこの私が、分不相応にも主人役をつとめているが、
高雅な席をとりまとめるには力不足で、まともな挨拶もできず面目ないことだ。

語注

【一瓶春水】春水を満たした瓶。
【新知】新しく知り合った友人。
【清友】気心の知れた、品のよい友。
【邂逅】かいこう。思いがけない出会い。
【吾在下風】立場が下の者であることをいう謙遜表現。
【叨作主】もったいなくも主人役を務める、の意。
【媿撩芳座】もてなしや席のととのえ方が十分でなくて、かえって恥ずかしいという意味。
【措蕉辭】バショウの葉のように、ひらひらと頼りないことばしか並べられない、という拙い挨拶・言葉を恥じる意味合い。

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