絹本縦一一五×横三四㎝
以下の翻刻・訓読・現代語訳は村井道明氏のご教示による。

題猿蟹物語二首
於腰黍圑子 日本一途情
蟹殿思打敵 只振横目行
憶昔添乳時 於袋能噺此
頭兀未送恩 可恥孝行蟹
安穴
訓読
猿蟹物語を題す二首。
腰の黍団子に於いて、
日本一途なる情。
蟹殿、敵を打たんと思ひ、
只だ横目を振りて行く。
昔を憶ふ、乳を添へし時、
袋に於いて能く此の噺(はなし)をす。
頭兀(は)げて、未だ恩を送らず、
孝行の蟹に、恥じるべし。
現代語訳
腰に黍団子を下げて、日本一まっすぐな心意気。
蟹殿は仇を討とうと思い、
横目をぎろりと振りながら進んでいく。
その昔、乳をもらっていたころ頃を思い出す。その時、袋(ふところ)でこの猿蟹の話をよく聞いたものだ。
自分は頭が禿げるようになるまで年をとっても、親への恩返しもできていない。
そんな自分は、孝行者の蟹に比べれば恥ずかしいものだ。
メモ
*鈴木馨氏によると「安穴」とは「中島棕隠」の狂名とのこと。
*20230909調査分J68に同一内容の書き物あり。


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