紙本縦□□□×横□□㎝
以下の翻刻・訓読・現代語訳・語注・コメントは村井道明氏のご教示による。

翻刻
兩地愁心明月懸 夜來應望玉關邉
即回青海成涇渭 尚及飛篷未白年
鵬斎老人書
訓読
両地(りょうち)の愁心(しゅうしん) 明月(めいげつ)に懸かり、
夜来(やらい) 応(まさ)に望むべし 玉関(ぎょくかん)の辺(ほとり)。
即ち青海(せいかい)を回れば 涇渭(けいい)と成り、
なお飛篷(ひほう)の未(いま)だ白からざる年に及ぶ。
現代語訳
遠く離れた二つの土地で抱く愁いは、同じ明月のもとにかかっている。
昨夜もきっと、あなたは玉関のほとりを眺めていたのだろう。
いったん青海まで行ってしまえば、流れは涇水と渭水のように分かれてしまう。
それでも、風に吹かれてさすらう身となり、髪が白くなってしまわない若いうちに、まだ間に合ってほしい。
語注
【両地】二つの離れた土地。
【愁心】悲しみや思い悩む心。
【玉関邉】遠い国境の地。
【青海】西方の遠地。
【涇渭】涇水と渭水。分かれる二つの川。
【飛篷】風に吹かれて漂う蓬で、さすらう身のたとえ。
【未白年】まだ白髪でない年齢。
コメント
「古意」と題し、服部南郭『南郭先生文集』所収。古意(こい)は、昔を偲ぶ心。
服部南郭(はっとり なんかく)。京都の人。荻生徂徠門下。古文辞派の代表詩人。宝暦九年(一七五九)没、年七七。


コメント