書き物

(菊池)五山 七言絶句 書き物 詩書

紙本縦一〇六×横二八㎝
以下の翻刻・訓読・現代語訳・語注は村井道明氏のご教示による。

撮影:四国大学 / 分類:20230909-J93

一隔世栄金説通 欣然高臥悲寒風
醒來偶記桃源夢 已墜人間画巻中
五山

訓読

一たび世を隔てば 栄も金も説き通じ、
欣然として高臥すれど 寒風を悲しむ。
醒め来たりて 偶たま桃源の夢を記すも、
已に人間の画巻の中に墜つ。

現代語訳

ひとたびこの世のしがらみを離れれば、富や名声などという話は、すべて通り過ぎた昔事にすぎない。
晴れやかな気持ちで寝そべってはいるが、吹きすさぶ寒風がどこかもの悲しい。
目が覚めて、ふと桃源郷をさまよった夢のことを思い出す。
気づけば自分はもう、現実世界という一幅の絵巻の中へと落ち戻っていたのだ。

語注

【世栄】せえい。ほまれ。世の中の繁栄や名誉。
【欣然】きんぜん。よろこんで物事をするさま。
【高臥】こうが。心を高尚にして世俗のわずらいを避け、山野に隠居すること。
【寒風】かんぷう。冬の寒い風。
【桃源】とうげん。(陶淵明の「桃花源記」に基づく語) 俗世間を離れた安楽な世界。仙境。桃源郷。
【画巻】がかん。巻物形式の絵画。

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