
打向銕炮州 近来
新玉春 入船誰荷
主 年招恵方神
右霊岸島立春
六樹園
語注
*六樹園が霊岸島に隠居所を新築したのは文化三年1819。鉄炮州はその対岸になる。
石川雅望 「霊岸島立春」
紙本縦一九×横一三㎝(刷物)
以下の翻刻・訓読・現代語訳・語注は村井道明氏のご教示による
翻刻
打向銕炮洲 迎來新玉春
入船誰荷主 年徳惠方神
右霊岸島立春 六樹園
訓読
鉄砲洲に打ち向かひて、
新たなる玉の春を迎ふ。
入る船、誰が荷主ぞ。
年徳は恵方の神。
現代語訳
鉄砲洲のほうへと船首を向けてこぎ出し、新しい年の春を迎えに行く。
今まさに港へ入ってくるこの船には、いったい誰がどんな荷を積んでいるのだろうか。
きっと今年の福徳を司る歳徳神が、恵方の守り神として乗り込んでいるのだ。
右は霊岸島で立春の日の情景を詠んだもの。六樹園作。
語注
【銕炮洲】鉄砲洲。江戸湊付近の地名で、海上守護の神社「鉄砲洲稲荷社」のあるあたりを指す。
【新玉春】新しい年の春、特に正月・立春のめでたさを言う語。
【年徳惠方神】その年の福徳を司る「歳徳神」で、恵方の神という意味。
【霊岸島】江戸の河口東側の島で、川口の監視や船改めが行われた場所。


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