紙本縦□□×横□□㎝×六枚
以下の翻刻・訓読・コメントは村井道明氏のご教示による。






翻刻
夜
簾垂幕半捲 枕冷被仍香
意
如何爲相憶 魂夢過瀟湘
歌
遏雲歌響清 迴雪舞腰輕
舞
只要君流眄 君傾國自傾
天
春日在天涯 天涯日又斜
涯
鶯啼如有涙 為濕最高花
梅道人
訓読
李商隠「夜意」
簾(すだれ)垂れ 幕(まく)半ば捲き、
枕は冷(ひ)ややかにして、被(き)はなお香(かんば)し。
如何(いか)にしてか相(あ)い憶(おも)うと爲(な)すや、
魂夢(こんむ) 瀟湘(しょうしょう)を過ぐ。
李商隠「歌舞」
雲を遏(とど)むる歌の響(ひび)き清く、
雪を迴らす舞の腰(こし)軽(かろ)し。
只だ君の流眄(りゅべん)を要すれば、
君 国を傾けて自ら傾く。
李商隠「天涯」
春日(しゅんじつ) 天涯(てんがい)に在り、
天涯に 日(ひ)又(ま)た斜めなり。
鶯(うぐひす)啼(な)きて 涙 有るが如く、
爲に溼(うるほ)す 最高の花を。
コメント
李商隠(り しょういん)。中国晩唐の詩人。字は義山。号は玉谿生。詩文集に「李義山詩集」がある。
巨海東流(こかい とうりゅう)。曹洞宗の僧。越後の人。号は梅道人(ばいどうじん)、金栗子、玉龍山主、碓房など。一四歳の時に越後にある長福寺の梁山全棟について出家し、のちに担戒良重の法を嗣ぐ。信濃大聖寺、志摩常安寺をへて、武蔵世田谷の豪徳寺二二世となった。書画、和歌を善くし、特に墨梅に優れた。著書に『碧巌録註』『永平発菩提心弁解』がある。嘉永六年(一八五三)没、年七五。


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