紙本縦一三五×横五九㎝
以下の翻刻・訓読・現代語訳は村井道明氏のご教示による。

一出山來信不通 桃花流水幾春風
人情争充日輕薄 焉識如今非畫中
桃源圖 詩佛老人
訓読
一たび山を出(い)で来たれば信通ぜず。
桃花流水 幾たびの春風ぞ。
人情 争(いかで)か日に軽薄を充(み)たさん。
焉(いずく)んぞ識(し)らん今の如く 画中に非(あら)ざるを。
現代語訳
山里を一度出てきて以来、故郷との消息は途絶えた。
桃の花が散り、水に流されていくのを、いくたび春風の中で見送ったことだろうか。
人の情けというものは、どうしてこうも移ろいやすく、日ごとに軽くなっていくのか。
今のこの世が、じつはあの絵の中の桃源郷ではないと、誰に言い切れるだろうか。
メモ
*七言絶句 通・風・中で押韻。
*詩仏老人 大窪詩仏(おおくぼしぶつ)明和四年(1767)~天保八年(1837)は江戸時代後期の漢詩人である。書画もよくした。常陸国久慈郡袋田村に生まれる。


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