落葉随風
龍田川はかりかそらのうみまても
にしきとなれる風の紅葉 抜足
加茂きくを子の
はしめてとふらひ
き給うけるに/よみて出しける
花雪のふることしれる人とめて
おのかまなひのともしひとせむ 春足
新上屋の/あるしの君の
六十一ニなり給ふ/を賀して
ことしからもとの子ともにはやかはり
これや六十市川の所作 六々
語注・気付き
3-50-1 龍田川はかりかそらのうみまても/にしきとなれる風の紅葉
*狂歌短冊3-49-5と同じ
3-50-2 花雪のふることしれる人とめて/おのかまなひのともしひとせむ
*きくを 手鑑1-55-1、1-55-2、1-55-3、1-55-4に書き物あり。同一人物と思われる。大平門の学友か?
3-50-3 ことしからもとの子ともにはやかはり/これや六十市川の所作
*狂歌短冊3-45-6に「六十一を賀して」の詞書で同じ歌あり。「新上屋のあるしの君」とあるが、「新上屋」が何を指すのかは不明。
◯「もとの子ともにはやかはり」は市川團十郎の所作に含まれる「早変わり」を表すとともに、六十一年目(還暦)に十干と十二支の組み合わせが一巡して元に戻ること(たとえば、甲子(きのえ ね)に戻る)を掛けている。
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