新年之御慶御同意ニ
寿候先は御安泰にて
御重歳可被成候大悦
仕候愚老無事越年
御安慮可被下候然ハ極月
廿一日出之貴書正月十九日
到着仕候御社中詠柳の
御佳作御そろへ被下大慶仕候
付而金百匹尊君より同
三百匹御連中より御贈
被下痛入受納仕候右は
初会ニおくれ候へ共二月十三日
宿にて執行之集会之節
披講可仕と奉存候其外ニも
おくれ来り候も所々ニ有之候へハ
これら一同二月之会ニ披講
可致と存候一曲亭御主人ゟ
短冊?等被遣即相認返上
仕候右ニ付御丁寧ニ金一方
御授被成下御厚意??
万々奉謝候可然御礼斗仰(?)
通可申候
雅言集覧十一部共両度ニ
着仕候由安心仕候右ハ二百部
すらせ候処極月晦日迄ニ先
のこらす売捌候併本店(?)へ
不相渡候故ひろまりかた少々
不便理ニ有之候それ故所々
知己之御方々之厄介にて
披露いたし候事ニて候ちりぬる之
条も当年之中差出度存候
御隣国なとへ御聞合追々
御ひろめ可被可候
狂蝶子春興帳大おくれ相成候
てきのとく奉存候併此節ひしと
取かゝりをり候間正月中もしハ
二月上旬ニは出来可申と存候
著聞集一之巻出来仕り候
二三ノ巻二月差出之由にて
御佳作之牡丹餅の趣向おも
しろく承り候
くれくれ諸君へ短冊御目録之
よろこひよくよく御伝へ可被下候
すりもの少々并鈍々亭ゟ
もらひ候奥州連之五十人一首
めつらしき物故呈上仕万々
其外後便申上候謹言
正月廿一日 五老拝
六々園大人
語注
*狂蝶子春興帳大おくれ 粕谷宏紀著『石川雅望研究』P258「○正月、延引されていた『文政己卯春興帳』が狂蝶子文麿蔵版で刊行される。」とある。
*雅言集覧第一冊刊行(文化二年1819)については『石川雅望研究』p257参照。
気づき
○①柳の御佳作(春足社中の狂歌集か)受納 ②春足より金百疋、同社中より金三百疋受納 ③一曲亭主人より金一方受納、短冊は書いてすぐ送った ④雅言集覧十一部、二回にわたり送った(前便と重複) ⑤同書二百部摺り、売り切ったが本店(?)に届いていないため広まっていない。宣伝よろしく ⑥狂蝶子春興帳のこと ⑦(狂歌)著聞集のこと ⑧牡丹餅の趣向(ぼたもちをテーマとして狂歌を読む春足の趣向か?)おもしろい ⑨すりもの少々進呈など
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