池上(?)蛍
とふほたるもえても影は浮草の
やとりすゝしくかよふ池ミつ 長基
春心有鶯
春まちし心たらひにきく物は
なくうくひすのこゑにさりける 大平
おもひ出て石井の水を結ふ手に
散にし花のかけうかふらむ 諸平
嘉肴あれと其あちハひをしらしとて
しみかくらひてみする唐本 飯盛
語注・気付き
4-17-1 とふほたるもえても影は浮草の/やとりすゝしくかよふ池ミつ
*秀逸
4-17-2 春まちし心たらひにきく物は/なくうくひすのこゑにさりける
*さりける(ざりける) 「にぞありける」の縮約形。
4-17-3 おもひ出て石井の水を結ふ手に/散にし花のかけうかふらむ
*石井 ここでは石で作った井戸のことか。
*結ふ 掬ぶ 手にすくう。
4-17-4 嘉肴あれと其あちハひをしらしとて/しみかくらひてみする唐本
○嘉肴あれと其あちハひをしらし 「雖有嘉肴不食不知其味」(嘉肴ありと雖も其味ひを知らず」(礼記)「嘉肴有りと雖も其味はひを知らずとは国治まつてよき武士の忠も・・・」(忠臣蔵)の語り出し。
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